Vol.1

愛され続けた約40年前の人気商品
氷削り器「きょろちゃん」を復刻!

1枚の手書き図面を手がかりに商品を復刻

1976年、「ハンドルまわせばお目目がくるくる」のキャッチコピーで、タイガー魔法瓶から発売された氷削り器「きょろちゃん」。
復刻することが決まったものの、社内には実物の在庫すらなく、見つかったのは1枚の手書き図面だけでした。約40年間、お客様に愛され続けた「きょろちゃん」を、再び愛していただける商品にするために、社内全体を巻き込んだ一大プロジェクトがスタートしたのです。

 

  • 商品企画

    竹内 知子2006年入社

    氷削り器「きょろちゃん」の企画立案を担当。社内プレゼンに向けて資料を作成したり、部署間の調整を行った。

  • 商品企画(デザイン)

    浅野 未理2013年入社

    氷削り器「きょろちゃん」の復刻デザインを担当。当時のデザインを再現するべく形状やカラーの検討・決定を行った。

  • 商品設計

    阪田 雅之2008年入社

    氷削り器「きょろちゃん」の設計を担当。外見だけでなく、削り心地も再現するべく、内部構造を設計した。

“高機能・高性能”とは真逆の
商品を企画

丸みのあるフォルムに、愛らしい表情、そして本体のハンドルを回すたびにくるくると動く目。氷削り器「きょろちゃん」は1970~1980年代にお子さんのいる家庭を中心に話題をよんだタイガー魔法瓶の人気商品でした。

竹内
「復刻のきっかけはお客様相談室にあった問い合わせでした。
映画のワンシーンにきょろちゃんがさりげなく映っていたらしく、復刻しないのかというお電話があったんです。約40年前の商品なので、実は私たちもきょろちゃんのことを知らなかったんですが、調べてみたらすごくかわいい!社内でも話題になってこの企画が始まりました。」

と話すのは商品企画の竹内です。
その話を聞いたデザインの浅野も「ぜひやりたい!」と思ったといいます。

浅野
「インターネットで調べてみたら、きょろちゃんファンの方も大勢いらしたんです。きょろちゃんにマフラーをつけて大切に飾っている方もいて、タイガー魔法瓶はかつてこんなにかわいい商品を作っていたのかと驚きました。」

設計の阪田は、自身も幼い頃にきょろちゃんを使っていたことを思い出しました。その楽しかった思い出から「自分の子どもにも使わせたら喜ぶだろう。絶対にやりたい!」と思ったそうです。
とはいえ、この企画がすんなりとスタートしたわけではありませんでした。

竹内
「新商品の多くは高機能・高性能を謳った商品ですが、これは高機能でも高性能でもなく、いわば弊社の新商品の流れとは逆行するもの。
“約40年前にあったかわいい商品だから、復刻したい”という思いだけでは、社内プレゼンで上層部を説得することは難しいと感じました。」

ところが、社内プレゼンを続ける中で、きょろちゃん発売当時に開発や生産、営業に関わっていた人たちから賛同の声があがるようになります。
それらも追い風となって、企画が通り、開発がスタートしました。

細部にも徹底的にこだわって、
緻密に再現

企画が通ってまず行ったのは、当時の図面と実物探しでした。

浅野
「約40年前の商品で、当時のデータなどが残っていなかったんです。ベテランの社員の方などに聞きながら探し、ようやく見つかったのは1枚の手書きの図面だけ。しかしそれではきょろちゃんの立体感などが分からなかったので、どうしても実物が必要でした。」
竹内
「社内には実物の在庫が1つもなかったので、個人でお持ちの方に協力していただきました。社内に声をかけたり、いろんなツテをたどったりで最終的には十数体は集まりましたね。個人の方にお借りする際『いってらっしゃい』ときょろちゃんに声をかけられる方もいて、本当に愛されている商品なのだと実感しました。」

これだけお客様に愛されている商品だからこそ、当時のままのきょろちゃんを忠実に再現しなければならない。そのプレッシャーを感じながら、デザインの作業からスタートしました。まずは実物を3Dスキャナーにかけ、CGデータを作成。それをもとに実物大のモックアップ(木型)を作りました。特に顔まわりの再現には苦労したそうです。

浅野
「きょろちゃんは丸みのある顔をしているので、頬のふくらみ具合や口元の角度など、ほんのわずかに違うだけで表情が変わってしまうんです。モックアップに色を塗り、目や鼻も緻密に描いて、実物と何度も見比べて作り上げました。」

完成したモックアップをもとに、次は設計に入りましたが、阪田は「これが本当に大変で(苦笑)」と振り返ります。

阪田
「モックアップを3Dスキャナにかけて、そのデータを元に3次元CADで設計しました。
確認のため3Dプリンタで出力した見本をデザイナーに見てもらうんですが、このチェックがかなり厳しくて(笑)。
設計としてはこれでOKだろうと思っていても、デザイナーがすごくこだわっていましたから、0.0何ミリのレベルで“ここが違う”というやりとりが何度もありましたね。」
浅野
「設計と何度もやりとりしたおかげで立体感はなんとかクリアすることができました。でも鼻や口については当時は手描きだったので、どのきょろちゃんも微妙に違っていたんです。だから何パターンも作って、実際に貼り付けて決めていきました。」

さらにきょろちゃんの最大の特徴である目の動きや、氷の削り心地にもこだわったそうです。

阪田
「内部構造については手書きの図面があったので、基本的には昔のままの構造です。ただ目が動かなくなってしまうものもあったので、確実にきょろちゃんの目が動くよう工夫しました。
あとは見た目だけではなく、削り心地やできあがりの氷のフワフワ具合も再現したかったので、実際に削って何度も試食して刃の出具合を調整しました。」

こうしてできあがった復刻版きょろちゃんは店頭とインターネットで販売。
きょろちゃんの特設サイトを作ったところ、公開1週間もたたないうちに「いいね!」が1000件近く集まったそうです。

竹内
「“絶対に買います!”という声もいただいて、発売前から反響が大きかったです。3月末に発売したんですが、かき氷シーズンの8月には限定数を完売。本当にうれしかったですね。」

社員にも笑顔をもたらした
きょろちゃん

きょろちゃんの製作時を振り返って、3人が共通して感じるのは「笑顔が多い開発業務だった」ということです。

阪田
「3DCADで設計中、私が難しい顔をしながら見つめる画面には、愛らしいきょろちゃんがくるくると回っている。そんな私の姿が面白かったようで、それを見た人はみんな『何してんの?』って話しかけてくるんですよ(笑)。」
浅野
「昔のきょろちゃんの情報を探すために、普段あまり話すことのない上層部の方とも話すことができたのは楽しかったです。いろんな人から幅広い意見を聞けたのも収穫でした。」
竹内
「性能や機能を他社製品と比較しながらの商品づくりが多い中、これは比較対象がなく、ただ“かわいらしさ”を訴える商品。感情に訴えるような商品づくりというのは、最近の製造業では少なくなってきているのかも…と改めて感じましたね。」

愛らしい表情で、社内全体を明るくしたきょろちゃん。
今後も、お客様はもちろん、開発する側もみんなが楽しいと思えるような商品を作っていきたいと考えています。

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